国際会議はもちろん,国内の会議であっても,あなたがそこで発表するために支払われた費用(旅費,宿泊費,参加登録費,別刷り代等)は膨大なものです.たとえば,それを安くみつもって10万円だったとしましょう.そして発表が10分間であったとすると,1分1万円の発表ですね.一秒一秒まで磨き上げた発表を心がけましょう.
名大内で開かれる会議のように旅費がかからないものであっても,あなたが準備に費やした時間や,発表練習に付き合ってくださった先輩や教官の時間を考えると,やはり発表迄に費やされているものは大きい.研究室内の報告会でも,あなたの発表のために集まった,多忙な先輩や後輩や教官の時間の合計を考えてみると,決してないがしろにできるものではないですね.
発表の成功のためにベストを尽くす必要がありますね.そうしないと,時間とお金の無駄使いになる.
あなたが,苦労して行った研究のすべてが,10分程度の発表で伝わるなんてありえない.詳細は予稿集を読んでもらえればいい,あるいは発表後にディスカッションすればいい.発表が終わった後から,多くの研究者があなたの研究に注目してくれればいい.その意味では,学会の講演は,コマーシャルと似ているかもしれない.
背景:
研究の必要性(研究の結果選られるもの意義,価値)を聴衆に理解させる.
たとえば,何が分って何が分っていないか.この研究の位置づけを理解させる.
研究の位置づけを理解させる道筋で,発表者の研究力量(学識経験)もアピール.
研究の目的:
上の背景と歴史を踏まえて,なにをどこまで明らかにするのかを述べる.
研究の内容:
どのようなモデルで,どのような仮定で,どのような過程で結果を導いたのか
数値例:
あくまで例である.
この例から何をよみとれるか.それは数値例のどこから読み取れるかを明確に.
結果:
数値例が証拠.研究内容でその証拠の正当性.背景で意義がのべられていること.
結論:
結果の中で重要な点をまとめて,結果の意義(背景と呼応すること)をのべる.
発表態度
堂々と.自分がやったこと(成果の新規性,有効性)を分かってもらえればいい.
聴衆の過大評価をもとめるな.しかし聴衆の過小評価も許すな.