あなたにとって,当たり前な事ほど,他人にとって,当たり前でないのかもしれません.

世間には,「常識」といわれるものがある.
  ・会社あての郵便は,様でなくて御中.
  ・2つボタンの上着は,上のボタンだけしめる.
  ・焼香は,1回か3回.
  ・世界の中心は京都である.
等.

これらの特徴は,「知っている人間にとっては当たり前でも,知らない人間が,自分では発見するのは困難.」であること.

論文の本当に大切なところも同じ.著者にとっては,その論文の価値(何がどう新しいか.その結果はどんな意味があるか)は,あまりにも当たり前すぎて記述する気にもならないかもしれない.大切であればあるほど,本質的な条件であればあるほど,著者には当たり前.そして読者には,それがわからない.とんでもない誤解をうける原因.
 

下記のような「常識」をベースにしている論文.そしてそれを明示していない論文はあまりに多い.
・私の論文は,衛星通信のアップリンクを対象にしているのは,当然である.
・室内移動体通信なんだから,ドプラ周波数は小さいのが当たり前.
・低軌道衛星通信だからドプラ周波数が大きいのは当たり前.
・CDMA(FDMAでもOFDMでもいい)をつかっているのは当たり前.
・動画像といってもここで想定している動画像は数100kpbsのものであることは当たり前.
・無線伝送しているTCP/IPなんだから,混雑ではなく,雑音が通信品質を支配するのは,当たり前.
 

暫定公開 2002.2.1