学位論文の執筆について
 

【1冊の本であること】

学位論文の内容は,すべて既発表(国際会議や研究会でも良い)でなく
てはならない.

しかし,博士論文は,単著の1冊の本(国会図書館に納本される)である.
投稿論文を束にして表紙をつけたものとちがい,統一された1冊の本
としての形式を満足する必要が有る.

各章は,全体として1冊の本の部分であることに注意.

学会論文の尻尾が残らないように.特に下記の点に注意.
  *「本章」というべきところを「本稿(this paper)」としないように.
  *各章で,文字の定義が異ならないように.
    - 同じものが別の文字になったり,別のものが同じ文字になったりしないように.
  *各章の始めは,その章の固有の内容のイントロであること.
    - 各章の始めに,「近年の無線通信の需要の増加には,目覚しいものがある.」
      といった一般論が来ないように(一般論は,背景を述べるための章にまとめる.)
  *共著を前提とした表現「著者等は(we,authors)」という表現は取り除く.
    - 例えば,学会論文の In this paper we discuss, は,This chapter discusses
      という表現等に変更.

参考文献は,各章単位ではなく,全体で1つの参考文献
であることが望ましい.もちろん,ページ番号は,章ごとでは
なく全体をとおしてつける必要がある.

序論の章と結論の章は,各章の内容だけでなく,学位論文全体として,何をしたのか
何がわかったのか,ということを記述するように.
 

【参考文献】
 

【博士論文の作成において,自分の研究より後の論文の扱い】

博士論文を構成している学会論文が出版された後に,
自分あるいは他の研究者によって発表された論文も,
博士論文で引用したほうが良い.

ただ,これらの論文を引用すると,自分の研究の新規性が
不明確になる問題がある.そこで,例えば下記の解決策.
 

*序論の章で
      ・自分の研究以前の研究.(背景と課題の説明)
      ・自分の研究の引用.     The author proposed xxx [自分の研究引用],
                                       which is discussed in chapter X .
      ・その後の研究の引用    Follwing these studies, recently xxxx [他人の研究引用]
   の順番で述べて,大きな研究の流れの中での自分の研究の位置づけを明確にする.

*各章では
      ・ 序論の節では,自分の研究以後の研究には言及しない.(論文誌原稿を踏襲)
      ・ 結論の節で,その章で述べた「新たな知見」のまとめの後で,最後に
         必要に応じて,自分の研究以後の論文に言及. 「その後」「最近になって」であることを
          明示して.
 

【謝辞】

謝辞では,主任指導教官,(博士では主査,副査も)への謝辞を忘れずに.
また,研究グループのメンバーにも.
肩書きと氏名に間違い(誤植等)のないように.