では,各項目毎に,何を書くのかを説明しましょう.
数値例の部分では,たとえばグラフから読み取れる事実(現象)を,その証拠となるのは数値例のどの部分かを明確にすること.また,その現象の理由も必要です.この現象とその理由の説明から,成果に収斂していくように記述されるべきです.
まとめに,あるいは章をあらためて,今後の課題を書く場合があります.数値例から読み取れる予想(証拠が不十分な結論)は何か.その予想を証明するために必要なものが今後の課題です.また,新しいモデルや仮定を,今後の課題としてあげる場合,「それをすると,何が<新たに>わかる」はずか.が重要.単に「より現実に近い(複雑な)」モデルを考えることは解析論文では無意味.それによって,何が明らかになるのかが重要.今後の課題としてあげた部分が行われていなくても,新規性,有効性が有ることが明確にされている必要があります.
研究論文(卒論も)の目次を考えるときは,それぞれの項目のタイトルだけでなくてその項目いの目的を考えましょう.目的とは,単なる羅列ではない.「あなたが何をそこで伝えたいかを,ひとことでいったもの」です.伝えたい内容ですから,当然,能動的になるはずですね.
# あなたの目次案に,目的を加えてみてください.
悪い例
1.衛星の軌道:「色々な衛星軌道の説明」
1.1 静止軌道:「静止軌道の説明」
1.2 低軌道 :「低軌道の説明」
良い例
1.通信衛星における低軌道の位置付け
「低軌道が通信衛星にとって,未開拓でありかつ有益な分野であること.」
1.1 静止軌道
「従来の主役静止軌道が,何故使われてきた.何故これではいけないか」
1.2 低軌道
「静止軌道のメリットを保ちつつ,問題を解決するものであること」
(低軌道の問題は,この"1”の内容と矛盾するので,別の章でのべよう)
上の例でも示すように,章全体がある目的をもってかかれています.その中の各節は,それぞれの目的をもっていますが,それは,章全体の目的と矛盾するものであってはなりません.
各章の目的は全体として,論文全体の目的に奉仕するものでなくてはなりません.もちろん論文全体の目的は,あなたの研究によって新たにわかった事柄をつたえることです.ここでも,研究によって得られた結論は,一言でまとめられている必要があります.
良い文章(教科書でも論文でも)では,各段落で読者に伝えたい内容が1つずつのべられています.しばしば,段落の最初の1文(ときには前半のどこか,まれに最後に)が,段落全体の内容を代表するようにかかれています.原稿を書くときは,それぞれの段落で述べたい内容はなにかを意識して書きましょう.また,1つの段落に2つの内容があると感じたら,2段落に分けましょう.